今回の衆議院選挙で自民・公明の与党は大きく議席を減らし、15年ぶりの過半数割れという結果となりました。一方で、野党の立憲民主党は議席を大きく伸ばしましたが、過半数には及ばず、今後、政権や総理大臣はどうなっていくのか。カギとなるのが、日本維新の会と国民民主党ということになりそうです。 ―――衆院選の結果、国民民主党はキャスティングボートを握る立場になりました。今のお気持ちは? 玉木代表「あまりそういった高揚感はなくて、むしろ責任を感じています。今までは自民党・公明党で過半数を取っていたので、とにかく2党で決めれば何でも決まっていましたが、(過半数を)割れてしまったということは、新しい意思決定の仕組みが求められていると思うんですよね。与党はもっと広い気持ちで、いろんな民意を丁寧に聞くという、そういう大きな心が与党には必要ですし、野党側も『(与党が)過半数割れているから何とか法案を止めてやる』ではなくて、建設的な提案をして、良いコンセンサスを作っていく。与党にも野党にも、新しいルールと作法が求められていると思います」 ―――今のところ、自公連立や野党との大連立は考えていないのでしょうか? 玉木代表「考えていません」 ―――すでに何らかのアクションは来ているのでしょうか? 玉木代表「選挙が終わった後で、国会も始まりますから、それぞれの幹事長とか国対委員長とか、それぞれの場所で、自民党だけでなく、立憲民主党や維新など、いろいろなところとコミュニケーションをしていると報告を受けています」 ―――代表の意志としては、連立は考えていないということですね? 玉木代表「考えていません。とにかく政策を実現したいんですよ。我々が欲しいのポストではなくて。『手取りを増やす』と訴えて、その政策に期待してくれた皆さんの期待に応えるためには、やっぱり政策を実現したい。これは何としても取りに行きたい」 ―――その政策実現のために、政策ごとに連携していくことも必要だとお考えでしょうか? 玉木代表「それは今までもやってきた方向ですし、これからも同じです。政策ごとに良いものは良い、駄目なものは駄目と言う。それは、今までもそうだったし、これからもそうです」 ―――まず実現したい政策は何でしょうか? 玉木代表「『103万の壁』を上げたい。とにかく、大学生とかパートの皆さんから山のように聞かされたのは、『せっかく最低賃金が上がって時給が上がっても、103万で抑えるために、10月で働けなくなって、11~12月はシフト入れません』と。店長さんもこれから年末商戦で忙しいと、カラオケの店長はこれから忘年会で稼がなきゃいけないのに学生が雇えないから、いくら払っても来ないと言っている。せっかく最低賃金上げたり、賃金を上げても全然豊かになれないので、これ(103万の壁)を上げて、もっと働けるように、もっと稼げるようにしたいですね」 『政治とカネ』問題解決へ…玉木代表が実現したい3つのこと―――多くの国民が自公政権にノーを突きつけた『政治とカネ』の問題について、何を実現していきたいとお考えでしょうか? 玉木代表「3つあります。(1)不透明な政策活動費は廃止。(2)旧文書交通費の使い道を全部出して残った場合は国庫に返納する。(3)我々が提案した『第三者組織』を速やかに作って、できれば年度内に作って再調査して、おかしいものはおかしいと、払うべき税金を払わせる。これが大事だと。結局、政治家は自分のことは決められないので」 ―――企業・団体献金の廃止・禁止を訴えていくお考えはおありでしょうか? 玉木代表「みんなでやるなら廃止したらいいと思います。ただ、実際に自分が受けてみると分かるのですが、企業献金が悪で、個人献金が善だというのは、実はそうでもなくて、大事なことは、影響を受けないこと。あるいは、『こういう人からもらっていますよ。だからこういう政策になるんだ』ということを全部明らかにすること。それを公開しないで隠していたから問題になっているので、しっかり公開すること。大切なのは、早く公開することです。例えば、団体や企業からもらっても、それが公開されるのが2年後となれば、選挙のときの判断に間に合わないじゃないですか。『こういう人からお金をもらう人には入れるのをやめよう』というのも判断。その判断が、公開が遅れてしまうと駄目なので、タイムリーな公開を徹底する。これが大事だと思います」 ―――政党交付金は自民党だけで160億円。それに加えて、企業・団体献金をもらうのは『二重取り』ではないかとの意見もありますが。 玉木代表「自民党は羨ましいなと思いますね。やめるのであれば一気に一緒にやめないと。我々がやめてゼロになって、向こう(他党)はまた入ってくるとなれば、ますます差がついて選挙で不利じゃないですか。スポーツと一緒で、同じルールで戦うというのが大事で、やめるなら一緒にやめる。」 ―――政策実現のためは、自公との交渉も視野に入ってくるのでしょうか? 玉木代表「『103万の壁』を引き上げるのは国民が求めていて、我々しか言っていない。自民党も公明党も立憲も維新も言っていませんから、我々が言うしかないから言いますけど、どういう交渉になっていくのかはこれからですね。まずはそれぞれの部局でコミュニケーションを取っている段階です」 ―――過去を振り返って…自民党は信頼できるのでしょうか? 玉木代表「そこが、ちょっとどうなのと思うから…。恐る恐る近づいて、取るものを取って、しっかり国民の皆さんのための政策実現ができるように気をつけてやります。ただ、今までと違うのは、皆さんの民意が示されたことによって(与党が)過半数割れしていますから、我々の意見を聞かないと予算も通りませんからね。示された民意に自民党・公明党も謙虚に耳を傾けていかないと。『国民民主党の意見を聞け』ではなくて、我々の背景にある国民の皆さんの声をちゃんと聞きなさいよと。今までみたいに『好き勝手やっても最後は何とでもなるんだ』では通用しなくなっていることに気づいていただき、自覚していただき、丁寧に耳を傾ける。そんな政権運営をしてもらいたいですね」 最終的に総理を目指す「地道にコツコツやっていきたい」―――「103万の壁を上げる」。これ以外に、実現したいことを教えてください。 玉木代表「50年前に始めたガソリンですね。ガソリンって、税金の塊なんですよ。50年前に増税して、『増税は2年間です』と言って50年引っ張っているのをやめればいい。ガソリンで25円10銭、軽油だと17円10銭下げると物流コストが下がるんですよ。大阪の皆さんは車に乗っていない人も多いので…ただ、全ての人に影響があるのは、トラックで物を運んだりすると(物流コストが)下がるから、物価が下がるので生活が楽になりますよ。これは合わせて強く求めていきたいと思います」 ―――大阪で国民民主党の支持層を広げていきたいという思いはありますか? 玉木代表「意外に、梅田のヨドバシカメラ前で、かつてないほど(人が)集まりました。上のデッキも全部埋まって。だから、「自民党はちょっとな…」「維新もどうかな…」というときに、大阪や近畿の新たな選択肢として国民民主党が認識されてきたので、そのためには候補者を出して選択肢を作っていかないと「そうは言っても維新しかいないじゃないか」と言われるので。次の参議院選挙とか、あるいは統一地方選挙ではない地方選挙もいっぱいありますから、できるだけ候補者を擁立して、皆さんに認めていただけるように頑張りたいと思っています」 ―――今後、選挙戦の戦い方も変わってくるのでしょうか? 玉木代表「私も頻繁に大阪に入ろうかなと思っています」 ―――欲しいのはポストではないというお話がありましたが、最終的にポストも目指しているのでしょうか? 玉木代表「内閣総理大臣ですよね、やっぱり。最後は国家運営をしたいと、どの政党のトップもみんな思っていると思いますよ。そうじゃないと、政党のトップは張れませんから。私達の理念をいつか実現しようということで、地道にコツコツやっていきたいと思っています」 ―――そこに至るために、どういったシナリオを描いておられますでしょうか? 玉木代表「政策実現だと思いますよ。今までは、『1票入れたって何も変わらないじゃないか』ということだったが今回、例えば国民民主党に入れて、小さい野党だけど、でも我々がテコになって、具体的に『103万円の壁』がちょっと引き上がったら、入れた意味が分かるじゃないですか。実際、手元に残るお金がちょっと増えたとなるとね。そういう実感、いい意味での国民から見たときの成功体験を一つ一つ提供していくことが、政治に対する信頼を取り戻す近道で、そういう積み重ねの中で、私達は大きくなっていきたいと思います」 ―――将来的に一緒に組んでいけそうな党はありますでしょうか? 玉木代表「政策次第ですね。政策さえ一致すれば、どこともやれると思いますので。逆に言うと、政策が一致しなければなかなか難しいかと」 ―――現段階で政策が一致する可能性がある党はありますか? 玉木代表「これから話してみないと分かりません。選挙が終わって、それぞれいろんな政策を訴えておられました。そういうコミュニケーションは丁寧にやっていきたい。今はちょっと、具体的な名前は控えたいと思います」 (责任编辑:) |